エンディングノートを用意したものの、「何を書くの?」「財産や葬儀まで決められない」と、最初のページで止まっていませんか。
まずは、連絡してほしい人、自分が大切にしたいこと、必要な情報を確認する方法の3つから始めてみましょう。すべての欄を埋める必要はありません。
この記事では、初めて書く方に向けて、項目ごとの記入例と保管の注意点を紹介します。記入例は終活ラボが作成した架空の例です。自分の暮らしに合わせて書き換えて使ってください。
エンディングノートとは?遺言書との違い
エンディングノートは、自分の情報や希望、大切な人への思いを残すためのノートです。横浜市西区も、これまでを振り返り、これからどう生きたいかを記す人生の記録として紹介しています。[1]
ただし、エンディングノートに記入しただけで、財産の分け方などに法的な効力が生じるわけではありません。「家を長女に残したい」と書けば、有効な遺言書になるというものではない点に注意しましょう。[1]
希望を整理するノートと、法的な手続きは分けて考えてください。遺言の作成や相続関係で迷ったら、弁護士や公証役場など、内容に合う専門家・窓口に確認しましょう。
終活全体で何を準備するか迷っている方は、終活の始め方と準備チェックリストで全体像を確認できます。
最初の1ページに書くことは3つで十分
ノートを最初のページから順番に埋める必要はありません。終活ラボでは、次の3項目から書き始める方法を提案します。
- 連絡してほしい人:名前、関係、連絡先、お願いしたいこと
- 今、大切にしたいこと:暮らし方、好きなこと、気がかりなこと
- 情報を確認する方法:契約一覧の有無、問い合わせ先、確認を頼める相手
たとえば「急な入院では、まず妹に連絡してほしい。仕事の連絡先一覧は別に用意している」と書く方法があります。頼みたい相手が対応できるか、本人にも確認しておきましょう。
横浜市旭区は、書けるところから書き、その時の思いに合わせて書き換える使い方を案内しています。空欄をなくすことより、今の情報を残すことを優先しましょう。[2]
エンディングノートに書く7項目と記入例
1.自分のこと・これからやりたいこと
氏名などの基本情報に加えて、好きな食べ物、趣味、大切にしたい習慣を書いてみましょう。家族でも知らない自分の好みを伝えるきっかけになります。
- 書く項目:好きなこと、苦手なこと、これからやりたいこと
- 記入例:「朝は静かに過ごすのが好き。体調が落ち着いたら、姉と温泉に行きたい」
「迷惑をかけたくない」だけだと、何を大切にしてほしいかが伝わりにくい場合があります。「自分で選べることは、なるべく自分で選びたい」など、具体的な言葉を添えるのも一つの方法です。
2.連絡先・急な不在で困ること
連絡してほしい相手に加え、ペットの世話や仕事の連絡など、急に家を空けると困ることを整理します。
- 書く項目:緊急連絡先、連絡する順番、引き継ぎたいこと
- 記入例:「最初の連絡は妹へ。猫の世話は、了承をもらっている友人に相談してほしい」
電話番号が変わったときは更新しましょう。連絡先一覧を別紙にすると、変更のたびにノート全体を書き直さずに済みます。
3.医療・介護で大切にしたいこと
医療機関、服薬情報を確認できる方法、暮らす場所の希望、不安に思うことなどを記します。
- 書く項目:かかりつけ、服薬情報、希望する生活、相談したい相手
- 記入例:「できれば住み慣れた地域で暮らしたい。治療については説明を聞き、家族や医療者と相談したい」
厚生労働省は、望む医療やケアについて家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合う「人生会議」を紹介しています。ノートは話し合いのきっかけにし、治療の選択に迷うときは医療者に確認しましょう。[3]
4.お金・保険・継続している契約
まずは、利用している金融機関や保険会社、ローンなどの契約先を整理します。確認できていない金額を、確かな数字のように書かないことも大切です。
- 書く項目:契約先名、契約の種類、問い合わせ先、最終確認日
- 記入例:「銀行はA銀行とB銀行を利用。保険会社はC社。契約一覧を別に作成している。残高は未確認」
情報が不足していても、「未確認」と残せば次に調べる項目が分かります。保険証券が見つからない方は、保険証券を紛失したときの確認方法も参考にしてください。
5.スマホ・ネット銀行・サブスク
紙の通知が来ない契約も書き出しましょう。動画や音楽の有料サービス、クラウド保存、ネット銀行などが対象です。
- 書く項目:サービス名、有料か無料か、残したいデータ、手続きの確認方法
- 記入例:「写真の保存はDサービスを利用。有料の動画サービスはE社。家族に残したい写真は別フォルダーに整理している」
国民生活センターは、故人の契約やアカウントの情報が分からず、確認・解約に困る事例を紹介しています。契約の整理に加え、アカウントの引き継ぎ機能があるかも各サービスで確認しましょう。[4]
6.葬儀・お墓・残したい物
決めている希望と、まだ決めていないことを分けて記入します。希望を書くために、先に葬儀やお墓の契約をする必要はありません。
- 書く項目:連絡してほしい人、葬儀の規模の希望、納骨の希望、思い出の品
- 記入例:「葬儀は近しい人を中心にしてほしい。納骨先は未定。写真アルバムは家族に見てもらってから整理してほしい」
「希望どおりに必ず行ってほしい」のか、「状況に合わせて相談してほしい」のかも添えると、読み手が考えやすくなります。
7.大切な人へのメッセージ
長い文章でなくても構いません。感謝していること、思い出、直接は言いにくかったことを、自分の言葉で残してみましょう。
- 書く項目:感謝、思い出、伝えたい気持ち
- 記入例:「忙しいときも連絡をくれてありがとう。一緒に旅行した写真を見るのが楽しみです」
すぐに読んでもらいたい内容と、将来読んでほしい内容は分けておくと、共有する範囲を決めやすくなります。
暗証番号・パスワードを一冊にまとめない
ノートを紛失したり、意図しない人に読まれたりした場合も考えておきましょう。横浜市金沢区は、暗証番号や通帳の保管場所など、悪用されるおそれがある情報を記載しないよう注意を促しています。[5]
この記事では、普段のノートには契約先などの一覧を書き、秘密情報とその引き継ぎ方法は別に検討することを勧めます。
- 銀行の暗証番号、ログインパスワード、復旧コードをそのまま並べない
- 本人確認書類やクレジットカードの画像を、共有用データにまとめない
- スマホの解除情報などは、安全な保管方法と必要時の引き継ぎ方法を考える
- ノート全体の写真を、広い範囲のグループチャットに送らない
秘密情報を何も残さなければ手続きに困る場合もあります。単に隠して終わりにせず、信頼できる相手、保管手段、各事業者の正式な手続きまで含めて考えましょう。パスワードが分かることと、本人以外が利用・取引できることは同じではありません。
紙とデジタルは、更新しやすさと見つけやすさで選ぶ
紙は手書きで始めやすく、デジタルは修正や検索がしやすいという違いがあります。一方、紙には紛失、デジタルには端末を開けない場合への備えが必要です。
迷ったら、普段使うノートで1ページ書いてから考えても構いません。自治体の公開する様式を見て、自分に必要な項目だけ参考にする方法もあります。横浜市旭区はノートのPDFを公開しています。[2]
どちらでも、「自分だけが知っている状態」を避けることが重要です。保管場所や確認方法を、信頼できる人と共有してください。
書いた後にすること|共有と更新
書き終わりを待たず、伝えられる範囲から共有しましょう。横浜市旭区も、いざというときに活用できるよう、家族にノートの保管場所を知らせることを案内しています。[2]
- 作成日・更新日を書く
- 誰に何を共有したかをメモする
- 引っ越し、契約変更、希望の変化があったら更新する
- 古い版がある場合は、どれが最新か分かるようにする
家族がいない場合も、頼れる人や地域の相談窓口に、必要な情報をどう残すか相談する方法があります。ノートに名前を書くだけで、相手に対応義務や代理権が生まれるわけではありません。頼みたいことは本人と話し合いましょう。
よくある質問
全部書くまで家族に見せない方がよいですか?
全部埋める必要はありません。まず連絡先など共有したい項目だけ伝えても構いません。見せたくない内容がある場合は、共有用のページと個人的な記録を分ける方法があります。
親に書いてもらうには、どう切り出せばよいですか?
「亡くなった後のために書いて」だけでは、話しにくくなる場合があります。「自分も連絡先を整理しているから、一緒に確認しない?」と日常の準備から話す方法があります。本人が話したくないときは、無理に回答を迫らないでください。
市販の専用ノートを買う必要はありますか?
必須ではありません。手元のノートや自治体が公開する様式から始められます。市販品を選ぶなら、文字の大きさ、書き込みやすさ、自分が使う項目があるかを確認しましょう。
まとめ|最初は、連絡先と今の希望を書こう
エンディングノートに何を書くか迷ったら、連絡してほしい人と、今大切にしたいことから始めてください。契約、医療、葬儀などは、書ける範囲で少しずつ追加できます。
大切なのは、完成した一冊をしまい込むことより、必要な人が確認でき、変化に合わせて更新できることです。今日は最初の1ページを書き、その存在を信頼できる人に伝えてみましょう。
参考資料
- [1] 横浜市西区「西区版エンディングノートについて」
- [2] 横浜市旭区「エンディングノート」
- [3] 厚生労働省「『人生会議』してみませんか」
- [4] 国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」
- [5] 横浜市金沢区「金沢区版エンディングノート『これから』」
資料確認日:2026年10月22日。この記事は一般的な情報と記入例の紹介です。個別の法律・医療・税務の判断については、専門家や担当窓口に確認してください。

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